きのう、呉服神社に参拝しました。
以前から呉服神社に行きたい、と
おもっていたのには、理由があります。
呉服神社に行く理由
はい。懺悔のためなんです。
常日頃から、「布」に関わる仕事(儲かってないから趣味というべきか・・・)
をしているのですが、どうしても、
残布が出ます。
特に洋服は、立体裁断といって、
人の身体に沿った裁断をするから、
丸っこい形に裁断することが多いんです。
なので、どうしても、利用しにくい形の布が残ってしまいます。

そういった布地をどこか、
釈然としないまま、燃えるゴミ袋にいれて、目の前から消し去り、知らん顔、の日々に
後ろめたさを感じている自分。
布にハサミを入れること
懺悔の理由はもう一つあります。
布にハサミをいれること。
それは、決して元通りには戻らない、
ということです。
洋服地は、緊張はするものの、
ハサミを入れなきゃ、作れない。
元々、そのためにつくられた布地で、
幅も120cm~。160cmと広く、
広げた布地に、様々な型紙を
置いて、カットしてゆく。
さらには、先にデザインが決まっていて、
デザインに合せて作られた布地だったりも
します。
対して、着物生地は、幅が約36cm程度と
狭く、振り袖と普段着はまたちょっと
違いますが、長さは、11.4m~13mちかく
あります。 いわゆる反物ですね。
それを、横5回程度のカットと縦に
1回カットするぐらい。
なので、着物にするのであれば、
切り刻まなくて済んだものを
服や小物にするために、ジョキジョキ切るのは、心が痛い。
タンスの肥やしより活用するほうがいい、
とはいえ、着物に親しんだことがある人なら、誰しも感じます。
切らせていただきます! すみません!
残ります。その代わり、がんばります・・・(なにを?)って感じになります。
出会い
作年、残布を使っていただける方は
いらっしゃらないかな、と
思い切ってSNSで発信してみました。
そうしたところ、シミ汚れや穴が
あったりして、リユースも難しい布を
染織しておられる織物作家の河本さんを
ご紹介いただくことができました。
本当にステキな作品になるんです。
河本蓮太郎さんの作品はこちら
⬇
https://www.rentarokawamoto.com/
供養
そうはいうものの、河本さんでも、
大量に出る、衣服の仮縫いに使う
シーチング、といったような硬い布地を
扱うのは難しいらしい。
供養するための神社ってたくさんあります。
針、刃物、人形、櫛、帯、扇、陶器、髪。
珍しいところでは、ふぐ、菌(!)、名刺、財布など。
もちろん、着物もあります。
川越市の蓮馨寺、京都の川崎大師京都別院
笠原寺など。
思い入れのある品は、廃棄、遺品整理の前に
一点だけでも、供養してみるのも、
いいかもしれませんよね。
八百万の神
わたしは、生まれたときから
祖母と同居しており、2世代前の
ものの考え方に色濃く影響を
受けてきました。
家も古く、五右衛門風呂に薪をくべて
入浴しており、いま考えると、まるで、
幽霊屋敷(屋敷、ではありませんが)。
そのせいか、八百万の神の存在は、
自然に身についています。
古いものや受け継がれてきたもの、
長く親しんできたものには、精霊が宿る。
感謝の気持ちで大切に扱うと、
ちゃんと応えてくれる。
科学的には説明できないのかもしれません。
が、そういう気持ちが布を通じて、
伝わればいいなぁ、と思うのです。